不動産投資の失敗事例〜なぜかお金が残らないT社の地方新築アパート

不動産投資の失敗事例を学び敵を知る

通帳偽造や過剰融資で何かと世間を騒がしている不動産投資。「だから言わんこっちゃ無い」「不動産投資なんて儲かるわけないんだよ」と言う声がSNS上で溢れています。

しかし実際に儲かっている人がいるのも事実。法人で言えば森ビルや三菱地所などは勝ち組。

それでは不動産投資の勝ち組と負け組。一体どこで差がついたのでしょうか

今回は投資の失敗例です。失敗例を知り、同じ轍を踏まないことで、少しでも成功者に近づくお手伝いができればと思います。

では、地方の新築アパートで失敗のお話。

地方の新築アパートを購入したものの

今話題のT社でアパートを購入したAさん。場所は新幹線も止まる地方の大きな駅から南に1駅の場所。

業者から提示された利回りは7.4%。総事業費は8,000万円。8部屋のワンルームで駐車場2台付き。

Aさんにはあまり馴染みの無い都市でしたが、有数の大都市であること、東京に比べて総額が安いこと、利回りは悪く無いこと、そして何よりもアパート自体が大変おしゃれでAさんが惚れ込んでしまったことから、すぐに契約を結んだそう。

自己資金は800万円ほど。「そんなのすぐに回収できますよ」「私たちに任せてくれば大丈夫です」という言葉を信用し、なんとなく運用していたAさん。

1年経ち、確定申告もあるので重い腰を上げて収支計算をしてみると、当初の予定より全然手元にキャッシュが残っていない。なぜなのか調べてみると

  • 募集してから全ての部屋が埋まるまで8ヶ月もかかっていた
  • 募集のための広告費が想定外だった
  • 何よりも業者が提示した利回り7.4%が嘘だった

という衝撃の事実が。

全ての部屋が埋まるまで8ヶ月も

業者が提示したデータによると、全国で管理していた部屋は7,000ほど。そのうち入居率は97%。

つまり全国で210室しか空室が無いことになっています。アパート自体はなんなかおしゃれなものでしたから、Aさんも妥当な数字だろうと考えていました。同様に自分のアパートも新築だし、おしゃれだし、すぐに埋まるだろうと考えていました。

募集開始時期は2月。3月の繁忙期に合わせて、ばっちりなタイミングです。これもまた、Aさんを「なんとなく大丈夫だろう」と思わせた要因の一つでした。

しかしフタを開けてみれば、なかなか空室が埋まらない。2階の部屋はなんとなく埋まってきましたが、1階の反応が悪い。最終的に7部屋まで埋まったものの、一階の奥の部屋が埋まらず、それが決まったのが10月という結果に。

不動産投資は人が入らなければ、当然収入がありません。

入居者をつけるのは簡単なことではない、という事は頭に入れておくべきでした。

募集のための広告費が想定外だった

街中の賃貸仲介業者が借りてを見つけてくれる訳ですが、その際、どの物件を優先的に案内してくれると思いますか?

借りる人の希望?場所?利便性?

いいえ。

実は広告費が多い物件から優先に案内する、という声が多くあります。広告費とは仲介手数料とは別にオーナーから不動産業者に支払われるお金です。

宅建業法によると、仲介手数料は家賃1ヶ月分が上限とされています。

しかしそれだけでは儲からない仲介業者さん。

そして、もっと支払ってもいいから入居者を決めてほしいオーナー。

この2者の利害によって生まれ、慣例化されているのが広告費という名目の手数料上乗せ金。通常はAD100などと記載されており、これは家賃100%、つまり家賃1ヶ月分。都内の借り手が簡単に見つかりそうな地域でさえ、このAD100は普通です。

しかし地方になると人口減、および仲介業者の競争鈍化により広告費が高騰。AD200やAD300は当たり前、という地域も多くあります。

そんな不動産業界の慣例を知らなかったAさん。もちろんシミュレーションの中には含まれていませんでした。最後の1部屋は業者の言いなりにAD200を付けたこともあり、手元にはキャッシュがほぼ残らない状態になっていたのでした。

利回り7.4%は嘘だった

資料にはしっかりと「利回り7.4%」と記載されていますが、実は嘘でした。その脇には「消費税および諸経費相当額を控除した金額で算出しています」とありました。

この7.4%という利回りは純粋に土地代と建築費の合計しか考慮されていませんでした。注釈にあるように、建築費の消費税相当額すら含まれていなかったのです。(註:確かにこの業者は消費税還付スキームを推しているようなので、その影響もあるかもしれません。これはまた後日)

よって利回りが高く見えていました。(7.4%でも高くありませんが)

しかし、冷静に計算しなおしたAさん。

建築費消費税を足し、なぜか200万円も請求される「外構・地盤工事代」も足し、さらに500万の諸経費を足し・・・全ての金額を足して再計算してみた利回りはなんと6.4%

これが都心なら、まだイイ。しかし、Aさんの物件。いくら新築とは言え地方です。

土地代も都心に比べて比べ物にならないほど安いはずなのに、利回りたったの6.4%。

これでは手元にキャッシュが残るはずもありません。

幸いだったのは銀行さんに支払う金利が2.05%だったこと。

これがスルガ銀行4.5%などでしたら、キャッシュが残らないどころかマイナスキャッシュフローだったことでしょう。

今回の学び

投資に失敗したAさんには申し訳ありませんが、これ以上同じ犠牲者が出ないよう、学びとして生かしたいと思います。

まず業者が提示する利回りを信用しないこと。そのためには自分で完璧な利回り計算ができること

そして土地代や建築費の金額が妥当であるかもチェックできるようになること。周囲の売買事例などを自分で調べ、検証できるようにすること。

地方は土地代が安くて取り組みやすいが、その分家賃が安いことを知ること。都内であれば70,000円取れる部屋でも地方では50,000円ほどになってしまいます。そしてその家賃が月日に合わせて下落することも考えておくこと。

また、新築で全ての部屋を埋めるのは結構な時間がかかることを覚えておくこと。販売業社は間違いなく「すぐ埋まりますよ。ええ、3ヶ月もあればどこも決まってますね」なんて言いますが、大抵あてにならない事を覚えておくこと。毎年空室が発生することを予測し、その空室損もシミュレーションに組み込むこと。

そして広告費。これに関しては業界の慣例なので逆らう事はできませんが、そのようなものがある事をしっかり頭に入れ、その上でシミュレーションを組むこと。

今回はこの辺りを持ち帰っていただければと思います。Aさん、ありがとうございました。

 

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